乳酸菌EF-2001加熱処理菌体の免疫系統に与える効果について

岩佐広行日本ベルム株式会社常務取締役

乳酸菌は食品や腸内など、栄養素に富んだ所に好んで棲息し、私たちの食生活や生活環境と密接な関係を保ちながら共存している。

乳酸菌の活用は多岐に渡り、発酵飲料及び発酵食品として古くから人の食生活に利用されてきた。その理由として乳酸菌には、整腸作用や腸内細菌叢の正常化など消化機能に対する改善効果があることが以前から知られており、さらに近年の研究で優れた免疫増強効果を持っていることも明らかにされてきたからである。

また、最近の研究では

①乳酸菌の効果を人が生成するためにけ多量の乳酸菌を堪取1なければならない

②乳酸菌は生きていなくてもその効果は期待できるということが明らかになってきた。

しかしながら、多量の乳酸菌を摂るために、乳酸菌を生菌状態で摂取することは物理的に不可能であるだけでなく、ある意味で危険な要素も含んでおり、死菌状態にして安全かつ大量に摂取する方法が模索されてきた。

<EF-2001加熱処理菌体の特徴>

日本ベルム会社では免疫賦活作用において他の菌種より優れた効果のある乳酸菌EF-2001(Enterococcus Faecalis 2001株)を培養、加熱処理し、乳酸菌の有用性を実感できる量として提供できる技術を研究開発してきた。

その特徴は

①生菌換算で7兆5000億個以上の菌体を1gに含有できる

②生菌と違い常温でも安定している

③乳酸を発生させない

といったことが挙げられる。

く乳酸菌EF-2001の生理作用>

乳酸菌EF-2001は以下に示すような生理作用、生体に対する作用が示されている

く整腸作用>

EF-2001を334mg含有した製剤を、1日に3回、15日間、男女30人に食べさせた結果、28人が便秘の改善を実感する結果が得られた。

く抗腫傷作用>

乳酸菌EF-2001を水抽出操作して得られる上澄液EFSと沈殿物EFIについて、Sarcoma-180固形癌に対する腫蕩内投与による抗腫蕩作用について調べた。その結果、EFS投与群は移植後6日目以降より、それぞれ共に有意な腫蕩増殖抑制を推移した。

臨床成績においては、温熱療法治療中のがん患者にEF-2001を1g×4回/日、4週間摂取させた時、治療の中断率の低下や白血球の減少抑制、X線画像診断結果において、食道がん、肺がんなど様々ながん病巣の縮小がみられた。また、放射線治療中の患者では食欲不振や排尿の困難度等、治療に伴うQOLの低下の軽減もみられた。

く抗糖尿作用>

単回投与(投与2時間後、4時間後および7時間後)及び連続投与(1週間後、2週間後および3週間後)における糖尿マウスに対するグルコース濃度の影響について、EF 2001群ではコントロールに対し、有意な血糖値低下作用がみられた。

また、EF 2001は正常なマウスの血糖値は下げずに異常なマウスの血糖値だけを低下させる作用があることが分かった。つまり、正常な血糖値まで強制的に下げてしまうのではなく、異常な血糖値だけを低下させるので副作用のない安全な抗糖尿食品としての期待ができる。

くアレルギー抑制作用>

EF-2001投与開始から3週間後のマウス血清を採取し、ELISA法により血清中の総IgE、IgGおよびIgMの測定を行った。その結果Control群に比べ、投与群のほうが血清中の総IgEの濃度は低下した。

く潰蕩性大腸炎に対する作用>

DDSを投与した潰蕩性大腸炎様のモデルマウスに対し、DDS投与の2週間前からEF-2001を投与した対照群では、下痢の抑制、大腸委縮の改善、大腸粘膜組織の「びらん」や出血の消失などが認められた。サイトカインを測定したところ炎症時に増加したIL-2、IL-8、TNF-a及びIL-17の産生値が正常レベルまで抑制された。